テラスの先には、バラ園が見える。
月野が初めて、ヴァンパイアの存在を告げられた、バラ園が。
「失礼致します」
椿が部屋を出ていくと、美鶴は座るよう月野を促す。
「体調はどうかしら?」
「平気、です。別に、学校を休むほどじゃ・・・・・・」
紅茶を口にする美鶴を見て、月野もカップを手に取る。
月野のカップには、ミルクティーが注がれていた。
「ごめんなさい」
「え?」
突然の謝罪に、月野はカップから視線を外した。
「襲われて、怖い思いをしたでしょう?」
「・・・・・・」
「それでも、私はお前を手放すわけにはいかないのよ」
優しげな言葉に聞こえても、本質は氷のように冷たく鋭い。
「私の夫―――お前の祖父を、見たことはある?」
月野が首を振ると、美鶴は席を立ち、アルバムを取ってきた。



