部屋まで月野を送ると、椿は熱い紅茶を入れて、部屋を出ていった。
「・・・・・・美味しい」
また襲われた。
どうして、こんなにも狙われるんだろうか?
(・・・・・・キスって、あんなにも気持ち悪いものなのかしら?)
自分の唇に触れ、月野は思い出す。
浦部に触られた時も、今回も、嫌悪と不快しか抱かなかった。
「・・・・・・」
―――コンコン。
小さなノックの音に、月野はハッとして顔を上げた。
「・・・・・・俺だ」
「綾織くん?」
先程の十夜が脳裏に浮かび、月野は知らず体が強張る。
「入っても、いいか?」
「・・・・・・うん」
大丈夫。
十夜は十夜だ。
月野は紅茶を置いて、立ち上がった。
「寝てなくていいのか?」
「平気。怪我とかしたわけじゃないから」



