虹色の桜



「桜好きなの?」

女の子に不意に聞かれ少し驚いた。


「え、あ、いや。今日はたまたま桜が目に入ったからみに来ただけ。」


「そうなんだ。ずっと眺めてたから好きなのかと思ったんだ。」

俺そんなに長い間見てたのか?
っていうかこの女の子はいつから居たんだ?

「ねえ、なんでこの桜をずっとみてたの?」

女の子はにこにこしながら嬉しそうに聞いてきた。

「なんでって言われても自分でもよくわかんねえ。ただ、無意識に見てたんだよ。」

そんなの俺にもわかんねえし。

「この木ね、精霊の木ってあたしは呼んでるの。なんとなくだけどこの木には精霊がいるような気がするんだ。」


普段の俺なら精霊なんで信じなかっただろうしこの女の子のことをバカにしただろう。
だけどこの時はなぜかこの女の子の言葉に納得してしまったんだ。