虹色の桜



家からその丘までは歩いて10分程だ。

だけど俺はこの丘へ来たことはほとんどなかった。


その丘は100m程桜並木が続いている。
俺はその桜並木の中のある一本の木の前で立ち止まった。

その木は桜並木の中でも一番大きな木だった。
自分でも無意識の内に立ち止まりしばらくの間その木を見上げ眺めていた。


どれくらい眺めていたのかはわからない。
ただシャッター音が聞こえたような気がして横を向くと10m程先に女の子がカメラを持って立っていた。



これが俺とハルの出会いだった。