この時期の泥棒【短編】




「ごめん…っ前言撤回」


『え…?』



私は、その言葉の意味を考える時間もなく

彼が近づいてきて


気がついたら。







傘は地面に落ちていて、私達は濡れていた。

冷たい雨があたる。

でも唇だけが熱を帯びている。




「そんな顔をするとまた喰うから」


そういいつつ、私を抱きしめていた。

ちらっと彼を盗み見すると嬉しそうだった。


「見るなよ」って言われ

また胸にぎゅっと押さえつけられた。


そんな彼に、私はまたもや心を奪われてしまった。




私の傘は、友人が隠していたらしい。

実行犯は友人だったけど

計画したのはまさかの瀬川君だった。



それを知るのは、まだ先の話。




end