天上界契約管理室、ジェシー・クリスタルが、黙々と業務をこなしている。
宮原慎一の契約状態を確認していたジェシーは、ある異変に気づいた。
「こっこれは……」
天上界幹部会に、ジェシーは急いで報告をする。
「大変な事になっています。宮原慎一の精神状態にある異変が生じた模様です」
「また、宮原君に何かあったのですか?」
「実は……」
「えー、マイナスエネルギー?」
幹部1は青ざめた。
「それは、まずい事になりました。今すぐ人間界に飛んで浄化しなさい」
幹部2はジェシーに浄化を命じた。
「はっ」
ジェシーは、直ちに人間界に飛んだ。

 人間界宮原慎一宅、
突然やって来たジェシー。
「宮原慎一、今日は、お前に重要な話があって来た。エレーナ、お前も聞け。
天上界の契約管理システムで、お前の精神状態の異変に気づいた。
契約管理システムは、不正行為だけではなく、契約者の精神状態まで分析出来る。
慎一、お前の中に重大な異変が生じている。今は自覚症状はないかもしれんがな」
ジェシーは慎一を指さしながら言う。
「どういうことだ?」
「お前の中に、巨大なマイナスエネルギーが存在することが確認された。
お前は今まで、さんざん不幸な目に遭って来ただろう?」
ジェシーは、慎一の過去を問いただす。
「確かに俺は子供の頃から不幸続きだった。
いじめにも遭ったし、両親との対立、大切な人達の死、他にもいろいろ。でもそれが何か?」
「お前は、今まで不幸な目に遭うたびに、負の想いを発してきた。
それがマイナスエネルギーを生みだし、長年に渡りお前自身の中に蓄積されて巨大化していった。
お前のマイナスエネルギーは、極めて危険な状態にある。
このまま放置しておけば、お前自身の中で抑え切れなくなったマイナスエネルギーは、
いずれ暴走する危険性がある。
マイナスエネルギーは、一度暴走しだすと、人間界も天上界も飲み尽くすまで暴れまくるであろう。
そうなったら、手のつけようがない」
慎一は愕然とした。
「俺の中にそんなものがあるなんて……なあ、うそだろ?」
ジェシーは首を縦には振らなかった。
「だが、今ならまだ間に合う。
そのためには、お前の中のマイナスエネルギーを浄化、つまり消滅させることだ。
私は、お前を浄化しに来た」
「それって危険はないですか? 慎一さんは怪我をしませんか?」
エレーナが心配する。