ハジメテヒトヲ…


――

「未来...話したいことがあるの。ちょっといい?」

私が友達と話していると、遥が話しかけてきた。

私は何だろうと思い、友達に断って遥について行くことにした。

そして廊下の隅に着いたところで、遥が立ち止まった。


「遥、話したいことって何?」


私がたずねると、遥は笑顔でこう言った。


「未来は、嫌いな人とかいない?」


と。

こんな質問されたこともない。

私はすぐに答えが出てこなかった。


「嫌いな人?」
「ええ♪」
「嫌いな人...誰だろ?」
「別に、誰でも良いのよ?そんなに難しく考えないで?」


私は悩んだあげく、昨日もめたばかりの小山 実貴(こやまみき)の名前を言うことにした。


「う〜ん...実貴、かな?」
「実貴ね?わかったわ...ありがとう♪」
「でも、いきなり何で?」
「別に?ただちょっと、ね...」


そう言って遥は、怪しい笑みを浮かべて、教室へと戻って行った...


もし、この時に私が「嫌いな人なんかいない」と答えていたら...

何か、変わっていただろうか?

今でも、皆と笑いあっていられただろうか?


...いいや

きっと違う...


どの道、他の誰かがターゲットにされていただろう。

実貴じゃない、誰かが。

もしかしたら、自分だったかもしれない...

でも、私が実貴の名前を言ってしまったのは紛れもない事実なんだ...