その日の夜は、明日から本格的に学校が始まるからと早く寝た。
翌朝_
「花音…おはよ…」
「あ、詩織おはよう」
私は眠い目を擦りながら今日も先に起きていた花音に声をかけた。
そして少し話した後
「あ、そういえば…」
花音が突然何かを思い出したかのように話を切り出した。
「うん?」
「昨日言い忘れてたんだけど、姫百合ね、寮に入ることもできるんだって!」
「ふーん…」
何を言い出すかと思ったら…
寮なんてあるんだ、さすがお嬢様学校…
まあ、寮なんて花音が入るわけないよね。
「で、入ろうか迷ってるんだけど…」
…って、えぇぇえぇえ⁉︎
「…え!?は、入るの!?」
花音が「寮に入る」なんて変ことを言い出すから、私はすっかり目が覚めてしまった。
すると、
「…なーんてねっ!入るわけないじゃん! 私が詩織と離れるわけないでしょ?」
なんて声が聞こえてきた。
「…えっ!?」
「だから、冗談だよ!じょ・う・だ・ん!」
なんだ…冗談か…よかった。
「な、なんだ…冗談か…」
「うん! 私はずっと詩織と一緒にいるからねっ」
花音は何の曇りもない笑顔でそう言った。
「そんなの、私だってずっと花音と一緒にいるし」
つられて私も笑顔になる。
「絶対?」
「うん、絶対」
絶対。
「そっか!約束だよ?」
「約束」
約束。
そう言って、私たちは笑いあった。
近いうちに、その約束が果たされなくなるとも 知らずに…
