今、私は姫百合高校という学校の正門の前にいる。
「ここが…」
今日から、私は姫百合高校の生徒になる。
世に言う「転校生」ってやつだ。
では何故、転校してきたのかって?
それは、アイツ…加山 遥に復讐するためだった。
_1年前_
「詩織!早く起きて!」
朝早く、近所迷惑なまでの大声で私を起こそうとしているのは私の双子の妹 桜木 花音。
「んん…起きてる…」
花音に起こされ続けて30分、今だに布団から出れずにいるのは私、花音の双子の姉 桜木詩織。
「…起きてないから言ってるんでしょ⁉今日、入学式なの忘れたの⁉」
「入学式…っ⁉そ、そうだったぁあ!」
私が花音に起こしてもらうことは珍しいことではない。
これはいつもの光景だ。
ただ、いつもと違うのは今日が高校の入学式だということ。
「詩織の方が早く行かなきゃなのに私より遅く起きてどうするの?」
急いで支度をし始める私に、花音は冗談めいた口調でいう。
私はそれに反論しようと、花音の方を向いた。
しかし、顔を向け真っ先に飛び込んできたのは花音ではなく7時を指す時計の針。
「だって…って、え⁉あと30分しかない⁉」
私の入学式は朝8時から。
そして高校までは歩いて20分以上かかる。
だから7時半には家を出なくちゃいけないんだけど…
家を出るまで残り30分。
「それは、私が起こしてるのに詩織が全然起きないからだよ…自業自得って感じ?」
う…
何でこう、グサリといたい所を突いてくるのかな…