車の中
私は
「花音に会いたい」
それしか思わなかった。
__
そして先生に呼ばれて気がついた時には、もう病院に着いていた。
「花音さんの病室は、2階のつきあたりの207号室よ」
207号室
そこが花音の病室…
「…わ、かりました」
先生に返事をし
とにかく私は急いで花音の病室に向かった。
途中、看護師さんに
「病院の中は走らないで下さい!!」
って注意されたけど、そんなの無視して無我夢中で走った。
階段を駆け上がり207号室を探す。
「205、206、207…あった」
さっき先生から聞いた207号室の部屋をみつけ
病室の扉を開けると、そこには
「…え?」
人工呼吸器をつけ
赤黒い血が滲んだ包帯だらけの少女が横たわっていた。
その少女の横では私と花音のお母さんとお父さんが泣いている。
何で、お母さんとお父さんはその子の前で泣いてるの?
その子は
…花音じゃないのに
だって、花音は今日の朝まで笑ってた。
「愛してる」って言ってくれた。
その花音が
その子なわけないじゃん。
花音は家にいるんでしょ?
花音は留守番してるんでしょ?
その子は、誰…?
