まさか・・・。

まさかまさかまさか・・・。


作り物みたいに見える、乾燥して筋張った皮膚。

まるで、石膏像とか木彫り像みたい。

両目の部分が、くぼんで空洞になっている。

歯は、綺麗に全部残っていた。


本当に・・・このミイラがお兄さんなのっ!!?


「き、絹糸・・・!?」

「これは・・・永継っ!」

「えぇっっ!!?」

「これは永継の遺体じゃっ!」


遺体って、お兄さんがミイラって・・・!??


だって・・・

絹糸、言ってたじゃないの!

「気配がする」って言ってたじゃないの!


死んでたら気配なんてしないでしょ!?

そうだよ、やっぱりこれはお兄さんじゃないよ!


「死してなお、気配は体に留まる。我にはそれが読み取れる」

「留まる? そんな・・・」

「気配とは、その身が本人であった証のようなものじゃ。消え去る事はない」

「・・・・・」

「それに・・・見てみよ」


絹糸が、アゴをしゃくった。

「ほれ、着物に札が貼り付けられておる」


札? あ・・・本当だ。

着物のあちこちに、お札が何枚も貼られてある。


「この札が、まるで生者のような気配を生み出しておったのじゃ」

「じゃあ・・・これって本当に・・・?」