大好き。

その言葉を
誰かに伝えるのに
どれだけ悩むんだろう
どれだけ泣けば
いいんだろう
どれだけ勇気を出せば
いいんだろう

何一つ私には
分からない。

だって私の恋は
まだこれから――。


「ねぇ伊織?俺の事どう思ってる?」

「へ?そりゃもちろん大好きだよっ!」

「…それって「だって英兄は昔から私のお兄ちゃんみたいな人だもん♪」……(だよなぁ…)」

「??どしたの?帰ろ?」

「いや…何でもないよ…帰ろっか…(何でもなくはないんだけどね…)」

「はーいっ」

「(……ハァ)」

<伊織SIDE>

ピピピピピピピピッ
「うーん…うるさぁい…」
少し開いたカーテンからはやわらかな光が部屋に射し、ケータイのアラームからは大きな音が鳴り響く。
誰?こんなに大きな音に設定したのは!?
って誰かに怒りたいけど設定したのは自分。
今何時だろ…って
「は、8時ーー!?!?!?!?」
どうしよう、どうしよう!!
今日から高校1年生なのにいきなり遅刻はできないよっ!!
7時に設定したはずなのにー!!
入学式は確か9時から…。
そして家から新しく通う高校までは徒歩40分。
私の足で走っても30分はかかる。
でも、汗まみれで入学式に行くのはなぁ…。
もうなんで私の家はギリギリで自転車通学じゃないのー…。
とりあえず用意しないと本当に遅刻する!!
そんな感じで私、藤崎伊織の1日は始まった…―。


「行って来まーす!!」
急いで用意して家を出る。
ちなみに今の時間は8時30分。
走らないとダメかなぁ…。
そう思い小走りで通学路を通る
でも急いで食べたパンのせいで脇腹が痛くて思うように走れない。
あー…このままじゃ遅刻決定……。
入学初日から遅刻とか…
「最悪だぁ…」
「…伊織?」
「ふへっ?」
この声は…