ラビリンス

「そんな安易な…」
口に出した瞬間、鍵番にピコピコハンマーで叩かれた。
ピコンと情けない音がする…。
「よおく見てみい
…ほら新婦の…」
あっ新しい生命
幸せそうな新婦、
新婦を庇うように寄り添う新郎。
二人の幸せに満ち足りた顔。
私は二人の子供になりたいと思った。
いや、私は二人の子供なのだ。
「鍵番さん、私はあの二人の子供なんですね」
「当たらずとも、遠からず…。ただし今のお主には、無理だな…その思考回路では鍵渡せない。」
「鍵…私が産まれる許可が出せないと言う事ですかなぜですかなんで」
鍵番は静かに語った。
人は産まれる為に試練を与えられる
なぜなら、人は生きていく為には、幾つかの試練が必ずついてまわるからだ。
その時、自分を救えるのは何かと言う事だ。
神でも自分の意志でも構わない。
ただし、全てが運命だと思う私の考え方は危険だと…
確かに天命があり、自分の力ではどうにもならない事はある、しかし運命は変わるのだ、変化し続け自分でいくらでも変えていけるのだと。
鍵番の話を聞いていると、いつしか私は深い眠りに落ちた。
眠りに落ちる前、鍵番が鍵をあけるのが見えた。