落ち着く。

物心ついた時からずっと隣にあった温かさ。


「……大和、温かいね」

「……そうか?」

「うん。
背中も温かいけど……全部温かい」


そう言って栞奈がギュッと俺の背中に腕を回してきた。

瞬間、高鳴る胸。

さっきまで自分が抱きしめてたクセに、向こうからやられるとダメみたいだ。


「……大和」

「ん……?」

「あんまり無理しないでね……」


俺の腕の中から少しだけ顔を上げ、上目遣いでそう言う栞奈。


……可愛すぎだろ。


俺はさっきよりも強く栞奈を抱きしめた。


「……ありがとな」


抱きしめながら、栞奈の頭に手を載せる。


「大和って人の頭撫でるの好きだよね」

「あー、もうクセになってんのかも。
昔から栞奈を泣き止ますために撫でてたから」

「そんなに泣いてないよー」

「泣いてた 。
超泣き虫だったじゃん、お前」

「えー……そうかなぁ」


ちょっと不服そうな栞奈。

でも、泣き虫だったのは本当だから。