え……え?

何この状況……。


あ……すごくドキドキしてる。

近い……大和が近い。


いつもは自分が後ろから抱きついてるけど……

……それとはまた違った感覚。


「危なっかしすぎ。
何でここで転ぶんだよ」

「それはあたしにもよく分からないです……」

「……見てて怖いわ」


……見てたんだ。

ずっと落ち着きなさそうにしてたから……
周りが見えてないと思ってた。

嬉しくて少し口元が緩む。


「ゴホン!」


蓮ちゃんがわざとらしく咳払いをした。


「お前ら……俺らの前でイチャつくな」

「「え………」」


……よくよく考えてみれば、大和は未だにあたしを抱きしめたまま。

先輩達は呆れたように笑いながらあたし達を見ていた。


「わわっ………」


慌てて離れたあたし達。

心なしか大和の顔はほんのり赤かった。


「……栞奈が一人で行ったら絶対迷子になるだろ。
俺が探してくる」

「え!?
ちょっ……あたしも行く!」


小走りをしだした大和の後を、あたしは急いで追いかけた。