「……あれ。
そういや監督は?」

「いないっすね」


蓮ちゃんがキョロキョロ周りを見回しながら言った。


「じゃあ、あたし探してきます!」


そう言ってあたしは走り出そうとした。


………が。


「ひゃっ……!!」


なぜか何にもないところでつまずき、体が前に傾いた。


転ぶ……!!


あたしはギュッと目を瞑った。


痛い……絶対痛い……。

しかもみんなの前で……イタイ。


あたしが心の中で痛さを覚悟していた……その時。


……ふわっと後ろから何かに包まれた。


前に傾いていたあたしの体は後ろへと引き寄せられた。


「っぶねー……」


振り返ると……大和があたしを後ろから抱きしめていた……。