入学式が終わって数日。

俺は入部希望者の名前を眺めていた。


今年は結構いるな……。

ぶっちゃけ今の二、三年より人数が多い。


「大和」

「お、ムラケン。どうした?」


副部長の村山健太。
略してムラケン。

チームのムードメーカー的存在だ。


「岬が呼んでた」

「あぁ、今行く」

「……あれ、それ……」

「見るか?今年の一年」

「うおっ、メッチャいるじゃん!
楽しみだなー」

「……さて。
俺は小動物のところに行かなきゃ」

「なぁ。
大和と岬ってマジで付き合ってないの?」

「マジだけど」

「でも、大和って岬のこと大好きだろ?」

「は!?!?」

「見てたら分かるって!
つーか、部員全員分かってっから!」

「マジかよ……」

「大和!!早く来て!!」

「ヤバッ!!
ムラケンと話してる場合じゃなかった!」

「栞奈ちゃん、怒ってるぞー」

「ごめんって、栞奈!!」


この頃はまだ良かった。

何事もなく、平和に過ごせていた。

……でも、この後すぐ。

そんな平和はいとも簡単に崩れて行った。