すると、壁には立て掛けられた大きな鏡があった。

その鏡を注視する。

そこには自分が着てるパジャマが写っていて、なんか、あれ?。

あれ?。

誰?、この子誰?。

一瞬頭がヒートする。
そして真っ白な頭がその顔の人物を割り出す。

「これ、沢口さん?、え、え。」

頭が混乱する。

ていうか、この状況で頭が混乱しない人はいないと思う。

だって私は山谷亜由美だから。

そして山谷亜由美が沢口美月で。沢口さんが私で。

なんなの、もう、訳が分からない!

鏡を見ながら思い切り自分の頬をつねる。

「いててっ!」

やっぱり夢ではない。
というかこんなべたな確認の仕方をする人いないよね。

「どうしちゃったの?、私…」

思わず本音が口をついて出る。

茫然自失とはまさにこのことだ。

とりあえず、このままじゃいけない、一度整理しないと。

そう思ってベッドの脇に座る。

私、何かした?。

一、二、三。

スリーカウントの後にまさにゴングが頭の中に響く。

「昨日の露店…」

今気付いたけど、手にはご丁寧にお守りが握られていた。