鏡で顔を見たら。

見たら。

私じゃないわけないよね、そんな馬鹿な。

そう思いながら鏡を覗き込むと。

あれ?。

私、こんなに髪長かったっけ?。

目はもうちょっと大きかったような…。

眉毛はもっと細かったよね?

「きゃーー!!」

あまりにも自分と違う顔に、思い切り悲鳴を上げてしまった。

それはまるで幽霊を見たみたいに衝撃的だったのだ。

「なに、なに!、なにかあったの!」

いきなり部屋の扉が開いて、人が入って来る。

見知らぬ女の人に、またまた悲鳴を上げそうになる。

ていうか、よくよく考えてみたら、ここ私の部屋じゃないじゃん。
「亜由美、なにぼけっとしてるの!、いきなり大声上げたり、なにかあったの?」

「あ、なんでもない…」
ていうか大有りなのだけど、ていうか亜由美って。

「なんでもないならいいけど、早くご飯食べないと遅刻するわよ」

そう言うと女の人は部屋を出ていってしまった。

しばらく立ち尽くす。
亜由美、亜由美?。

頭がしばらくフリーズする。

そしてしばらくのフリーズの後、直感が働いた。

山谷亜由美?。

手鏡をもう一度確認する。