「………………颯」 涙を流しながらそう呟くあたしを 夏帆は抱き締めた。 「………………麗っ」 どうして颯なの。 颯じゃなきゃいけなかったの? 「おい、お前しっかりしろよっ」 誰の言葉も耳に入らない。 聞こえてるのに入ってこない。 だって、あたしが いま一番聞きたいのは颯の声。 みんなに心配かけている。 それは分かってる。 だけど……… どうしても受け止められない。