「一回来ただけなのに、家覚えたんだ」 何も言わずにあたしを引っ張って 先を歩いていた颯だけど ちゃんと家にたどり着いた。 「あんたとは違うからね」 「はいはい。…ありがとね」 「ん。それじゃあね」 あたしの手を離して 颯は元きた道を戻ろうとした。 「………あ」 「…なに?」 「な、んでもない」 「そ?じゃ」 「うん」 あたし、今。 寂しいって思った? 手を離さないでって…。