「深久……っ」


久々に感じる透の温もり。

ぎゅっと抱きしめられて

止まっていた涙が、また溢れた。


「深久、ごめんな。」

『もう謝らないで……』

「ごめん……ありがとう……」


消え入りそうな声で

囁かれた言葉が

あまりにも綺麗に聞こえて……

あぁ、やっぱりわたしバカなんだ

と、思った。


「深久……好きだ。愛してる」

『ん。』


透が求めてる言葉はわかってる。

でも、今は言ってあげない。

ちょっとした仕返し。

でも、ほんとにちょっとだけだから。


わたしも、透のことが好きだよ。


って、すぐに言えるように

なると思う。


だから、今は、これだけ言うね。


『透……ありがとう』