ほんの一瞬、 電話の向こうが静かになった。 そして、聞こえた声は、 今までよりも冷たいものだった。 『'それを信じろって言うの? ふざけないでよ。 社会人なら常識でしょ? 信頼を失うのは一瞬だけど もう1度信頼してもらうのは 一生かかっても難しいことだって。 仕事と比べるほど わたしたちの関係は 大きなものでも大切なものでも ないのかもしれないけど…… わたしはもう、透を信じられない'』 さようなら と、最後に一言残して 電話が切れた。 *