ダイブ



飛び降りたことに後悔をしていないから、『飛び降りる前』に戻りたいとも思わない。


でも。

もう一度、飛び降りたいとも思わなかった。


――ああ、そうか。


自分がなんでこんなにも彼と言葉を交わそうとするのか、わかった気がした。


それはたぶん。

飛び降りた理由をきかないでくれた、から。


ひとが、高いところから飛び降りるには、きっと何か理由がある。


でも、私にはなかった。


いじめられてるわけでもないし、親との関係は特段悪くもないし、成績も……まぁ将来嘱望されるほどでもなく、そんなに悲観するほどでもない。


ただ、私は飛んでみたかったのだ。


鳥のようでも、飛行機のようでもなく、

私はただ、紺碧のなかを、落下してみたかった。