あたしの胸は小さいけれど【完】

「・・・もう無理」



唇から漏れ出たこの声が拓斗に届いたかどうかは分からない。


もう何も聞きたくなくて、この場から離れたくて、あたしはどこともなくふらーっと歩き始めた。




「ちょ、紗希!どこ行くんだよ!」




背後から声が聞こえる。

腕を掴まれる。



なに?なんなの?なんで引き止めるの?

ほっとけばいいじゃない?



興味のない女のことなんて
あたしのことなんて!