―――ガタッ
私は驚いて思わず、開ききっていなかったドアに背中をぶつけてしまった。
「あっ………」
その瞬間、私は先生と目が合った。
「あ………綾子」
「えっ………」
その先生の声に、女の人がこっちを振り向いた。
でも、私は二人を見る余裕なんてなくて………
「………ごめんなさい」
その一言だけ言った私は、直ぐにその場を立ち去った。
見たくなかった………。
先生と彼女がキスしているところなんて………。
見たくなかったよぉ………。
次第に視界がぼやけてきて、前もまともに見えなくなってきた。
涙で視界を遮られていく。
涙が溢れ出して、拭っても拭っても止まらなかった。