保健室の内緒

入りたくない…。



そんな気持ちがループして、なかなか中に入れない。



扉の前をうろうろして、ちらっと見てそしてまたうろうろ。



どうしよう…。



「入れば?」



下を向いていた私にもはっきりと聞こえた、高めでしっかりとした男子の声。



そして振り返ると瞳全体に広がる栗色。



「なぁ、入んねぇの?」



あっ…、髪の毛が栗色なんだ。



「おい!聞いてんのか?」



耳にピアスまである。



「もしもーし?」



香水に混じってなんとなくワックスの匂いがする。



ペチン



頬に伝わってくる体温。



手が頬を包んで、顔も近付いて…



「うわぁ!」



ち…近い!



「ぷっ…、すげぇ真っ赤」



ふっと頬から手が離れる。



びっくりした…。