私のバイブル的な本が、奈須きのこ 著 空の境界です。

この作品のいいところは、エンターテイメントに練り込まれたテーマ性です。

テーマというと……ついそれを前面に押し出して哲学的になりがちです。

けれど、空の境界はテーマを保持しつつ、見事なエンターテイメントで物語を進行していきます。

存在感や、なにかへの定義、意思……一概に説明できない心の変動……テーマとして扱われるものはどこまでも深いのに、物語はエンターテイメントを忘れない。

読者に『読ませる』哲学……そんな作品です。

万華鏡のような表現力で繊細な心を描写したい私は……時々、エンターテイメントを忘れてしまいます。

それじゃダメだ!!ダメなんだ!!

作家は、ある程度の自己満足を持ちつつも、あくまでエンターテイナーでいなきゃいけない。

人を笑わせられないピエロは、どんなに芸達者でも人気者にはなれない!!

表現力と心の変動を磨きつつ、物語を『楽しめる』ようにしたい。

奈須きのこ先生は、ことエンターテイメント性において、心の師匠なのです。