貴女だけを見ていた。

貴女の美しい瞳が、憎悪に燃えるのを。
哀しみに濡れるのを。
あるいは、絶望の淵に、沈みこむのを。

僕は知っていた。

貴女がそうする時、貴女の瞳には、僕だけが映っていた。

僕だけを見ていたのを。



貴女の胸に開いた深紅の薔薇。

そこから伝わってくる身体的な温もりと、それを介して精神が統合していく、遥かな昇華。

貴女の怒りと憎しみは、歪んだ愛情の裏返しだった。
僕にはそれが、心地よかったのだ。



今宵。
貴女は、僕の腕の中で息絶える。

僕とともに。






貴女は、僕のものだ。

誰にも、渡さない。