「まさか、メアリーが探してた息子さんが木村さんだったなんてなあ。」
出張でアメリカに向かう飛行機の中―――
「メアリーが、日本に来たくないって言ってたんだ。
昔、日本の男性と結婚してて、息子が一人いるけど別れてから一度も会ってないって。
日本に来たら探して会いたくなるって。
僕は、二人目の母親みたいに思ってたからメアリーには、絶対に僕らの結婚式に出て欲しかったから探してはいたんだけどさ。」
見つからなかったのに?
「まさか、あんな近くにいたとは・・・」
ふう~ん、初耳。
そんなこと聞いてないもん。
「まさか、あの場で二人が再会するなんてびっくりだったよな。」
びっくりどころの騒ぎじゃなかったんですけど・・・
「ま、僕らの結婚が他にも幸せ運んできたって訳だからよかったよな。」
よかったんだか・・・どうなんだか?
「どうした?何か不服か?」
さっきから社長
一人で楽しそうにしゃべって
ぜーんぜん
私の様子になんか気づいちゃいなかった。
「不服?ええ、不服ですとも!」
訳が分からないって顔する社長。
「だったら、その訳をいいなさい。」
全く分かっちゃいない社長。
何、その威張った態度は・・・
いくら今が出張先に向かう飛行機の中だから仕事中だって言ったって・・・

