冷やかすように言う彼女を振り切りながら、私は部屋の方へと急いだ。


「いいなぁ紗奈は!王子に送られるなんてねー他の女の子に恨まれちゃうよ」


「み、見てたの?!」


千尋はいたずらっぽく笑って、自分の部屋へ帰って行く。


他の女の子……やっぱり、先輩ってモテるんだろうなぁ。

かっこよくて、優しくて、穏やかで、それで頭もいいなんて。


私は今日の出来事を振り返りながら、ベッドにもぐりこんだ。