「いい質問だね、藍原くん」


先生は待っていましたとばかりに嬉しそうだ。

きっと笑顔に違いない。
暗くて見えないけど。


「あれは神様が熊を空にあげるときに、しっぽを持って振り回して投げたからしっぽが伸びたんだとさ」


「ええ!かわいそう」


先生がくすっと笑った。


「うん、でも空の星になってずっと地上の出来事を見てられるんだ。幸せなのかもしれない」


急に真剣な声を出すから、私はまたドキッとした。

それに両親のこと言われている気がしたから。


「見てるだけは辛いのかもしれないけどな」


……先生?


「はい。終わり!」


先生はいつもの調子に戻ってそう言った。