「えっと……ないしょ」 先生のマネをして、いじわるな表情をしてみる。 先生は少し驚いてこっちを見たけど、すぐに視線を前に戻す。 「生意気」 「えへへ」 「褒めてないけど」 信号が赤になって、車が交差点で止まる。 左に曲がれば寮だ。 「……紗奈、今日、時間いい?」 「大丈夫です。っていうか、先生と話したい」 先生は何も言わず左に出していたウインカーを右に切り替えた。