「だからね、そのクマくんも私がそこに付けたことによって、何か起こるかもしれないんだよ」 裕子はそれだけを言うと、にこっと笑顔を向けて立ち上がり、部屋を出ていった。 あ、お礼を言いそびれた。 ……まぁ、今度何かをおごってやろう。 そして、残された俺は柄にもなくクマに話しかけてみる。 「お前、嵐は起こすなよ」 クマはまだ首をかしげたままで、窓から吹き込んだ風で少しだけ左右に揺れた。