* * * * * 放課後、準備室のパソコンの前でもう一度携帯を取り出す。 どう見ても不釣り合いなストラップは、俺に向かって首をかしげたような格好でこっちを見ていた。 ……待ってるなんて言ったけど、ホントはちょっと怖いんだ。 紗奈が俺を選んでくれなかったらって。 トントン ノックが聞こえて、俺が返事をする間もなく、裕子が小さな箱を抱えて入ってくるのが見えた。 「樹くん、コーヒー」 「……ここは喫茶店じゃありません」