「秘密だ」 「えーじゃあ誕生日は?」 「秘密」 「もう!なんで教えてくれないんですか?」 「ほら、謎の多い男の方が魅力的だろ」 ちょうどチャイムが鳴り、「またね」なんて言葉を残して部屋が静かになった。 誕生日なんて聞いてどうするんだ。 俺は自分の誕生日を祝うつもりなんてない。 祝ってほしくもない。 それはこれからも、ずっと。 大体、誕生日近くにはロクな思い出がないんだ。 ― ――― ――――――――