私の姿を見てからゆっくりとタバコをもみ消す。

そして「よぉ、元気か?」と片手を挙げた。


樹先生はちょっと軽くて親しみやすい先生で、見た目もかっこいいから生徒からは結構人気がある。

『いっき』先生っていうのが彼のあだ名だ。


「先生また職員会議さぼりですか?」


「またとか言うなって。ほらコーヒー作ってやるからさ」


そんな先生の言葉に私は首を大きく横に振った。


「いりません!そんな汚れたビーカーに入れるコーヒーなんて!」


私の言葉に先生はわざとらしく首をすくめて私を見る。

そしていたずらっぽく笑って新しいタバコに火をつけた。


「それより、藍原は部活やらねぇの?」


「今のところ帰宅部ですね……何かやりたい気はしてるんですけど」


先生は笑って……何かを企んでいるような顔だ。