――“~さえよければなぁ”。 『(……え?)』 「分からないのですか?Ms.川村」 『“~さえよければなぁ”?』 「……そうですね」 先生はあたしの解答に少し不服な表情を見せたが、再び解説を始めた。 『(た、助かった)』 あたしは、すぐさま右隣に座っている洸太に顔を向ける。 『ありがとう。教えてくれて』 いつもあたしを愚弄する洸太が、まさか親切に声を潜めて教えてくれるとは……。 内心、何かを企んでいそうで、気味が悪いんだけど……。