「名物と言ったら、中島先輩と川村先輩でしょ」 “キャー、格好いい!”とか“キャー、美人!”とか、甲高い声を上げながら興奮する柚乃。 確かに眼前には、美男美女カップルがこちらの方に向かって歩いていて……。 けど、これだけでは名物とは言えない。 訝しげに眉根を寄せる。 そんなあたしを見て、柚乃は“あぁ、そうか”と呟いた。 「一度も見たことがないのか」 「ん?」 首をひねると、“まぁ、見ていれば分かるよ”と小さく笑った。