それは眠れない夜だった――。 やたら満月が輝いていて、照らされる夜桜が綺麗だった。 「…来年も再来年も……。共に花見、か。時塚様らしいな。」 桜の木に歩み寄る。 もうすぐ今年の桜は終わる。 花は儚い。 だからこそ満開の時は美しい。 時塚様の父上――旦那様はよく言っていた。 ずっと美しい姿を見ていたいなんて贅沢じゃないか、と。 じゃあ俺があの方の笑顔をずっと見ていたいと思うのは、贅沢なんだろうか?