天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~ <番外編>

「……………」


あたしは無言の朔と膝をつきあわせている。


そうして、時間ばかりが過ぎていく。


朔は目を閉じて眉間にシワを寄せて、腕を組んでいる。


…土方さんか。


「…優、お前また男のこと考えただろ」


「…………またそれ?」


いい加減、ほんとに呆れる。


「あのねぇ、朔。あたしは確かに新撰組のみんなのこと考えるわよ?でも、それは好きだとか…そういう問題じゃないの」


「…分かってるさ」


「そうよね、朔は分かってなんか……え?」


あたしは思わず聞き返してしまった。


「だから、分かってる。そんなことくらい」


真面目な顔で言われてしまった…。


どう返せばいいのか悩んでいると。


「…分かっては、いるんだ。けど…お前がどこかへ行かないか…不安なんだよ」


あたしはびっくりして朔を見た。


すると、朔の顔は真っ赤で…


「…見んな、バカ優」


そう言ってあたしを抱きしめてしまった。


「こんなこと、言わせんなよな…」


照れてる朔がめずらしくて。


不安だったのはあたしだけじゃないんだって…思ったら、つい。


言っちゃったんだ、禁句ともいえるあの言葉を。


「…可愛い」