天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~ <番外編>

「あの…あなた…」


ああ、言われる。


そう思ったけれど。


あたしがその先を聞くことはなかった。


「おい、何してんだ……愛美」


大好きな人の声が、聞こえたから。


振り返ると、人形をとった朔がいた。


「…ありがとうございました。…ほら、行くぞ」


朔は翼鬼たちにお礼を言うと、さっさと歩き出してしまった。


「あ…」


名残惜しそうにあたしを見る翼鬼と、目があう。


それでも、翼鬼はあたしを見ると。


にっこりと、微笑んでみせた。


翼鬼、あなたは…。


あなたはきっと、あたしだって解ったのね。


ありがとう、翼鬼…。