天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~ <番外編>

慣れ親しんだ、声が聞こえた。


振り返ると、そこにいたのは……朔、ではなくて。


「女の人相手に、何してんのかって聞いてんの」


…翼鬼と、沖田さんがいた。


「お前らっ…新撰組!?」


「だったらなんだよ」


わめく男たちに対して、翼鬼はめんどくさそうに言った。


「す、すみませんでしたぁ!!」


男たちはすごいスピードで去っていった…。


「…なんなんだよ、なぁ総司」


「まあいいんじゃないですか?無事だったみたいですし」


「そうだな。…お姉さん、大丈夫?」


いきなり声をかけられて、びっくりした。


「はい…。ありがとうございました。では、これで」


助けてくれたのに悪いと思いながらも、あたしは二人に背を向ける。


これ以上は、ダメだ。


あたしが我慢できなくなってしまう。


それ、なのに。


「あの!」


翼鬼があたしを呼び止めるから。


あたしは…立ち止まってしまうんだ。


「あの…。間違っていたら、ごめんなさい。あなた…」


その先に続く言葉を、聞きたくない。


聞いたら…あたしは戻りたいと願ってしまうから。