天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~ <番外編>

あたしは人形をとって、顔を隠すようにして歩いていた。


…追ってきてくれたって、いいのに。


もう知らないわ、妬けばいいのよ。


ここは京の都。


…こんなところを選ぶのは、未練があるからに他ならない。


あたしは甘味処に入った。


「お団子三本ください」


「はいよ~」


はぁ…。


あたしは何してるんだか。


そのとき。


「すみませーん、お団子50本ください!」


ぶっ!


飲んでいるお茶を吹き出しかけてしまった。


慌てて声のしたほうを見ると…。


「なんでそんなに頼むかなぁ!?」


「…みんなに持って帰ってあげればいいじゃない」


「そういう問題じゃ…」


…沖田さんと……翼鬼。


ああ、ずっと。


会いたかったんだ…あの子に。


まだ別れて全然経っていないと言っても過言ではないのに。


なのに。


こんなにも、あの子たちが恋しくてたまらなかったんだわ…。