天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~ <番外編>

腕のなかで慌てる千代が、どうしようもなく愛しい。


翼鬼のことは大好きだけど。


守ってあげたいと思うけど。


それとは違う、愛しさ。


「…不安にさせて、ごめんね」


ぼそっと呟くと、千代は暴れるのをやめた。


「でも、これは信じてほしい。僕が好きなのは千代だけだから。これから先も」


「…本当、どすか?言いたかったことって?」


ああ、それは…


「なんで僕に何も言わずにここにいたのってこと。…妬けるじゃん、僕が知らないのに他の人が知ってるって」


…言わせないでよ、全く。


「くすっ…独占欲強いとこ、変わってへんなぁ」


「そうそう性格なんて変わんないよ」


そんなにコロコロ変わってたら…扱いにくいじゃん。


…千代は、変わらないでいてほしい。


その包み込んでくれるような温かさと。


優しい心を持っていてほしい。


「…千代」


呼びかけると、上を向く千代。


小首を傾げているところが、また可愛い。


「…好きだよ」


僕はそう言って、そっと千代の唇を奪った…。









案の定、その後千代は放心状態だった。