天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~ <番外編>

対する翼鬼は…は?という顔。


はっきり言ってしまえば、アホ面。


「おい、天鬼。姉に向かって毒を吐くな」


あ、やっぱバレた?


「…はぁ…。まあいいけど、で。あたしだったの?お千代ちゃんが見た女の人って」


「そう!だって…翼鬼ちゃんだとは思いもしなくて…」


まぁ…翼鬼は普段男装だもんね。


「綺麗な人で、髪も下ろしてて…」


「そりゃ、あたしが綺麗とか有り得ないけど。髪は演出だし」


「「いや、十分綺麗だから」」


僕とお千代ちゃんの声が重なった。


顔を見合わせて、笑う。


「…なぁんだ。もう誤解解けたじゃん。あたしは総司のとこ行ってこよ~」


「っ翼鬼ちゃん!」


お千代ちゃんの呼びかける声に片手を上げて応え、そのまま行ってしまった。


「で、お千代ちゃん」


「はい?」


「誰が浮気だって?」


「っ…天鬼はん、笑顔が黒い!」


知ってるよ、自覚済み。


わざとだもん。


「…それよりさぁ、名前、呼んでくれない?」