天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~ <番外編>

「天鬼、話がある」


夕食の片付けも終わったとき。


あたしはそう切り出した。


「…奇遇だね。僕も、話があった」


…別れ話?


それとも…真実を教えてくれるの?


お千代ちゃんは天鬼から隠れるように、あたしの後ろにいる。


「…お千代ちゃん。自分で、話しな?」


「でもっ…」


「これは、二人の問題でしょう?」


あたしは諭すように言った。


お千代ちゃんは不安そうな顔をしつつ、意を決したように、前へ出た。


「お千代ちゃんから、どうぞ」


「……天鬼はん…。昼間の、女の人とは…どういう関係…?」


震えながら小さな声で。


でもちゃんと言い切った。


天鬼はびっくりしたように、


「誰…って…」


とだけ言った。


あとは、笑いをかみ殺しているだけ。


「…天鬼。答えなさい」


「やだなぁ、翼鬼まで…何言ってんの?」


呆れたように笑う天鬼に、あたしの堪忍袋の緒が切れた。