天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~ <番外編>

部屋についてすぐ、お千代ちゃんは話し始めた。


「今日のお昼過ぎ、歩いとったら偶然天鬼はん見かけてなぁ。話しかけようとしたら…」


「女の人と楽しそうに話していたと」


こくこく頷く、お千代ちゃん。


天鬼に限って、浮気なんてないと思うけどなぁ。


「その女の人、どんな人だった?」


「すごい美人で、天鬼はんとよぉお似合いで…」


「ああ、ごめん」


またも泣きそうになったお千代ちゃんを、必死でなだめる。


「やっぱり、あたしなんかが天鬼はんと恋仲やなんて…おかしいんやろか」


「そんなことないっ。お千代ちゃんはいい女の子だよ!!自信もちなって!」


「翼鬼ちゃん…ありがとう」


…あたしのお千代ちゃんにこんな顔させるなんて…。


天鬼め…何やってんだか。


天鬼がお千代ちゃんを嫌いになるなんてこと、絶対ない。


だって、お千代ちゃんが天鬼を救ってくれたから。


鬼じゃないって、言ってくれたから。


きっと天鬼はお千代ちゃんを嫌えない。


だから…


天鬼、その女の人は誰なの…?