天使の翼を持った鬼~愛よ輝け~ <番外編>

土方さんの部屋につくと、幸い天鬼はいなかった。


「なんだぁ、翼鬼。もう任務の報告は終わったよな?」


そう、あたしはついさっきまで任務をしていた。


…女の格好をして。


「うん、終わったよ。そうじゃなくて…今晩だけ、お千代ちゃん泊めてくんない?」


「はぁ!?ムリに決まってんだろ、そんなこと」


…言うと思ったよ、頭堅い人…。


「んだと、翼鬼」


「なんでもないよ。…お願いだよ。天鬼のことで話があるから」


「…恋煩いか」


恋煩い…。


「そうとも言うね」


「……お前が面倒みるなら、今晩だけだぞ」


その言葉にあたしはぱあっと顔を明るくした。


「ありがとう、お父さんっ」


「ああ、はいはい」


「じゃ、部屋行こう、お千代ちゃん」


「ありがとうございます!」


お千代ちゃんが土方さんにお礼を言うと。


土方さんは初めてお千代ちゃんを見て。


「…天鬼のこと、頼んだぞ」


とだけ、真剣な顔で言った。


もちろん、今のお千代ちゃんには答えられなかった…。