端から見れば、天使のような笑顔。


しかし俺から見れば…真っ黒な笑顔だ。


「俺はいい。お前食え」


「えぇ、食べてくんないの?」


誰が食うか!


お前が食べてるの見てるだけで腹一杯だ!


「…仕方ないなぁ…」


ここで天鬼が諦めてくれた…と思った俺が馬鹿だった。


「ぐふっ!?」


「ほら、美味しいでしょ?…さっき僕に顔赤くしたバツだよ」


黒い笑顔で俺の口に団子を突っ込んだ、天鬼。


ふざけんなぁぁあっ!!!!


「天鬼、おまっ…後で覚えてろ…」


もう怒る気力も削がれてしまった…。


はぁ、世の中の父親はこんなに大変なのか…?


「…土方さんってさ、怒りながらも僕のやりたいことやらせてくれるよね」


「そうかぁ?」


俺自身、そんなつもりはないが。


「だからお父さんみたいだなぁって…。親子って、ケンカしながらも仲いいもんなんでしょ?」


「…そうだな…。俺は幼いころに親亡くしてっからな。でもま…愛されてはいたが」


それに比べて、こいつらは…。


愛されることすら、なかったんだな…。


そんな俺の心を読んだかのように、天鬼は。


「今はみんながいるじゃん」